伝統工芸・伝統素材の建築への活用
- 反物を掛ける和室の雰囲気を損なわないようにカーテンの代わりに反物を使用している。幅はそのままで、必要長さに切ってフックで吊るすという極めて単純な設え。反物とは、着物一着分を仕立てるのに必要な幅40cmほどの生地のこと。
- 名栗ヒノキのフローリングの表面を手斧でハツリとった名栗仕上げの床。名栗とは、角材や板に「突き鑿」や「釿」、「与岐」などで独特の削り痕を残す日本古来からの加工技術。足触りが非常に心地よい。
- 焼箔で加飾した打合せテーブル透明アクリル板に箔押ししたものを木製テーブルに嵌め込んでいる。デザイナーの乾陽亮氏監修及びコーディネートのもと、株式会社井上さんに制作して頂いた。
焼箔は、銀箔を変色させる加工。金属の化学反応によって深みのある揺らいだ色彩が独特の輝きを放つ。 - 伝統素材、焼箔の輝き透明アクリル板に箔押ししたものをエレベーターホールの壁面に設置。デザイナーの乾陽亮氏監修及びコーディネートのもと、株式会社井上さんに制作して頂いた。
焼箔は、銀箔を変色させる加工。金属の化学反応によって深みのある揺らいだ色彩が独特の輝きを放つ。 - 白く輝く伝統素材ツキ板仕上げの扉に、錫の伝統的な加飾技法で禾目・石目・槌目の3種類の異なった質感の錫板を一直線に配置してはめ込んでいる。錫板は、秦錫工房に表面を叩いて頂いた。
- 錫象嵌のダイニング・テーブル栗の天板に一直線に彫った溝に禾目(のぎめ)・石目(いしめ)・槌目(つちめ)、3種類の異なった質感の錫板をランダムに配置して象嵌したダイニング・テーブル。伝統工芸に造詣の深いデザイナーの乾陽亮氏との協働設計で実現した。錫板は、秦錫工房に表面を叩いて頂いた。
錫は非常に軟らかい白く輝く銀色の金属。水に錆びず、表面は年月と共に変色し趣を増していく。 - 土壁土壁中塗り仕上げとした住宅の壁。ペンキやクロスにはない、落ち着いた味わいのあるテクスチャー。土壁とは土に藁や砂を混ぜて水で練ったものを塗り固めた壁のこと。
- コンクリートと対比する唐紙コンクリートの壁面に唐紙の襖が映える。京からかみ丸二の瓢箪柄(灰白鳥の子紙/摺色:キラ)が光の当たり方により時にはうっすらと時には鮮やかに浮かび上がる。引手は雅俊作 ウルミ 平円玉子大。
- 包み込む自然光をつくる障子企業の本社事務所に付随するレクチャーホールの1つの壁一面を障子にて構成。障子を通して自然光を柔らかくとり入れ、講演者を背後から明るく包み込む
- 上品な空間に変える柔らかな光工場の一部をリノベーションしたオープンラボ展示スペースの南面の壁面全体を、木カウンターと障子で構成している。窓木の組子の間の和紙を通った柔らかな光が室内に入り、無骨な工場が上品な空間に変身。
- 大開口と断熱を両立させる障子リビングにある3m×2mの大開口部、木製框3枚引戸に、大きな割付の組子で障子を設置。冬が厳しい地域のため、断熱性をもたせるために両面に紙を貼る太鼓張と呼ばれる障子にした。
- 室内に調和をもたらす障子和室の雰囲気を損なわないように、アルミサッシの内側に木材で組んだ格子の片面に障子紙を張ったオーソドックスな障子を設置。視線を遮りつつ、柔らかな光をとり入れる。繊細な組子が土壁や照明と調和して実に美しい。
古くは「衝立」のことを障子と呼んだ。その後現在の「襖」に相当するものを指すようになり、さらに室内に光を取り入れられる現在の障子を「明障子」と呼ぶようになっている。 - 和紙の受付カウンター越前和紙とタモ集成材で構成する企業の事務所受付カウンター。自然素材がもたらす柔らかい和紙の風合いとステンレスの社名版の素材のコントラストが上品な雰囲気をつくりだす。雲流漉き入れ和紙「薄香色」を使用。
- 雲龍紙の光壁土佐和紙の丑雲龍とガラスによって構成した企業のショールーム壁面。雲龍紙はちぎった楮などの長い繊維を和紙に漉き入れて雲のような模様を表したもの。色見がシンプルなので嫌味がないが、主張は強く楽しい表現になる。
- 和紙の風合いを活かす越前和紙、肌色の青海波。住宅の玄関収納の扉と壁に楮、三椏、雁皮やパルプなどの自然素材でつくられた強くて柔らかい独特の風合いを取り入れる。
青海波は同心円が扇状に重なる文様。広い海の恩恵を表し、波のように無限に繰り返して未来永劫へと続く幸せへの願いが込められた縁起の良い柄。 -
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